2.医療・介護サービスの利用経過を把握する。
遺言無効を主張する典型的な事案は、遺言者の介護等に主に携わっていた方に極めて有利な内容の遺言が不当に作成されるという場合ですので、このような場合、遺言無効を主張する側は、遺言者の入院・通院の経過や介護サービスの利用経過、要介護認定を受けているか否かすら知らない場合があります。
このような場合、医療記録や介護記録を取り寄せようとしても、対象となる医療機関や介護施設が不明ですので、まず、医療機関と介護サービスの利用経過を調査して、その内容を把握することになります。
具体的には、1.医療経過については診療報酬明細書(調剤報酬明細書含む)、2.介護経過については介護給付費明細書を取り寄せることになります。診療報酬明細書は医療機関が作成して提出しますが、遺言者の方の保険の種類により提出先がことなります。これらを整理すると以下の表のようになります。
診療報酬明細書と介護給付費明細書の開示手続
開示請求先 | 開示手続 | ||
---|---|---|---|
診療報酬明細書 | 国民健康保険 (自営業等) |
市役所・区役所 | 個人情報開示手続又は弁護士法23条の2による照会 |
協会けんぽ (中小企業) |
協会けんぽの各都道府県支部 | ||
健康保険組合 (大企業等) |
個別に確認 | ||
共済組合 (公務員) |
個別に確認 | ||
介護給付費明細書 | 市町村・区役所 | 個人情報開示手続又は弁護士法23条の2による照会 |
目次
- 事実関係を幅広く把握する
- 医療・介護サービスの利用経過を把握する
- 病院・介護事業者ごとの医療記録・介護記録等を取り寄せる
- 医療記録・介護記録から無効原因を特定する
- 情報整理の視点